ピアノ室には在来工法木造住宅が最適

木造住宅は隙間が多くて、遮音性能が低いという評価をされます。

しかし、在来工法の木造住宅は、適度な吸音性と音響が特長である木材の利点を生かすには最適な建物です。遮音性の弱点は、木造にマッチした「音響・防音設計」と工事によって補うことができます。

むしろ、共振しやすいツーバーフォー住宅や鉄骨住宅のほうが、ピアノ防音室を構築するには、反響調整、共振を抑える防音施工の難易度、費用が問題となります。

在来工法の木造住宅は、床や壁を木製品で補強すると、制振能力が向上するため、遮音材や制振材などが相乗効果で防音効果を高めます。
そのため、比較的薄い構造でピアノなど音楽防音室を構築することが出来、空間を余り狭くしないで済みます。

しかも、良好な音楽環境を造ることができます。それが在来工法の木造建物の特長です。

以上の内容に関連した記事を次の情報サイトにも記載していますので、ご参照いただければ幸いです。
防音通信(木造)

木造住宅の防音業界

木造住宅の防音対策は、通常は大学や専門学校の建築学科では教育のプログラムとして殆ど組み込まれていません。このため、社会に出て職場で学ばない限り、建築士や現場施工の技術者には基礎知識すらありません。

また、専門的な書籍もなく、ネット上で木造住宅の防音設計マニュアルを公開しているサイトもありません。実例を公開しているウェブサイトも少なく、詳細を知ることはできません。

このような状況下では、木造住宅(戸建、二世帯、賃貸)の生活防音を新築時に計画するには、専門家にコンサルティング業務(設計を含む)として依頼する以外に方法はないのです。

無料相談で知ることができる情報は、使用に適している防音材の概要程度であり、これすら実際の実務の中で活用している専門家でないと的確なアドバイスを受けることができません。
*詳細な施工仕様を、無料で教えてくれるような専門業者は日本には存在しません。
*環境省や国土交通省の役人でさえ無理でしょう。

以上が、木造建築に関する業界の概略です。

木造住宅に併設したピアノ教室(グランドピアノ2台)

先月、担当した木造住宅のピアノ防音室の音響チェックを行い、防音効果の分析をしました。

この現場は、在来工法の木造戸建住宅の2階にピアノ教室を開くため、約8.5帖の室内に大型グランドピアノを2台設置して、現状の音漏れを半分以下にするという目的でした。

結論から言うと、依頼者のご要望は全て満足することが出来、薄い音響・防音構造のおかげで、2台のピアノが設置できたのでした。
他の専門業者の提案では、予算をかなり超過する上に、防音壁が厚すぎて、ピアノが2台置けないということが分かり、私のほうへご相談に見えたのが最初でした。
*昨年の11月に国立までお出でになり、打合せを行いました。

他の業者との違いは、木造を生かすコンセプトと薄い遮音対策、下地補強などでした。在来工法の木造住宅の利点を生かしながら提案したことが決め手になりました。

音響をチェックした限りでは、ピアノ同士の接近状態が多少影響して反射音がやや多い感じがしましたが、これは当初から織り込み済みであり、カーテンや吸音性のある家具、敷物などで調整することが出来そうな状況でした。
*今後のチューニングによっては、DIYで吸音パネルを作って、壁に数枚ほど立てかける予定です。

今回の対策は、非常に費用対効果が高く、喜んでいただけました。

木造防音室の事例写真を追加

木造防音室のページに事例写真を追加しました。これから少しずつ増やしていく予定です。
仕事で担当した現場のほか、街中で見つけた建物(ベンチ、遊具、モニュメントなど木造構造物を含む)やテーマパークなどに移築保存されている住宅などの木造家屋の写真も入れていきます。

掲載する写真を準備中

比較的新しい現場の写真や今年撮影した木造家屋の写真を中心に整理しているところです。
*仕事が忙しくて、なかなか進みませんが。

今月(9月)と来月に新しい現場と建物見学で、新たに撮影する予定ですので、これをもって画像を入れていきたいと思います。

あっという間に、夏は過ぎてしまい、もう秋ですね。